No.0068 華星夜曲 1/No.0069 華星夜曲 2 [Larserdisc]
先日、声優の武藤礼子さんがお亡くなりになったとの報を知るにあたり、iTuneに登録していた『ノンノンのうた』を連続6回聞いた。そして代表作を鑑賞しようと考えたのだが、なんとうちには『ムーミン』も『ど根性ガエル』も『侍ジャイアンツ』も『ふしぎなメルモ』も、旧『ルパン三世』すらなかったのである。洋画吹き替えも全滅だ。
しかしこの作品があった、『華星夜曲』が。
大正12年の日本、時代を華麗に奔放に生きようとする羽生燁子(はしょうあきこ。火偏に華。武藤礼子)、彼女と同日に生まれメイドとして仕え、貧しくとも賢明に生きようとする内田沙羅(鈴木弘子)、そして彼女達と惹かれあう二人の男、やくざに身を置く“鷹”(野沢那智)と銀行の御曹司の西園寺清州(きよくに。小川信司)。本作品は、この四人が織りなすメロドラマである。
1988年徳間ジャパンのビデオコミックシリーズとして4話作られたこのOVAが後年の武藤礼子さんの最後の主役級作品ではないだろうか。
また、本作は80年代中盤の数年を海外向けアニメーションの制作に費やした出崎統の日本復帰第一作であり、たまっていた(であろう)ストレスが一気に噴出した(と思われる)大傑作アニメーションである。作画・美術・撮影と再結集した出崎組が煮詰めた、濃厚な出崎汁が画面全体からどろどろと流れ出ている。
ある意味確信犯的に原作の中途でばっさり終わっているというのもいさぎが良いのではないかと。まぁ確かに「華星夜曲」と言うのに上海が出てこないのは問題かもしれないが、30分4話と枠が決まっていたのだろうし、続きを作れる様になっているのだから…。せめて全13話くらいはほしかったなぁ。
ディスク仕様は両面60分CAVの豪華仕様。数年ぶりの鑑賞だったがノイズも出ず、美しい画像そのままでした。DVDはおそらく出ないのではと思われるのでこのLDで一生添い遂げることとしましょう。★★★★★
徳間ジャパン/徳間コミニュケーションズ
No.0713 VAMPIRELLA:THE MOVIE [Larserdisc]
ロジャー・コーマンプロデュース、ジム・ウィーノスキー監督でお送りする、吸血美女特撮SFアクション映画。原作はアメコミの古典『ヴァンピレラ』である。
僕たちの考えているヴァンピレラは、だいたいこうだ。Photoのところからジュリー・ストレイン姐さんやレスリー・カールトン嬢の御姿を確認していただきたい。半乳をさらし、股間をこれでもかと食い込ませる。これがヴァンピレラだ。これが世の男性を魅惑する正しいヴァンピレラの姿なのだ。MASUMI MAXの前髪パッツンぶりもヴァンピのライトスタッフを継承している。
本作品では主人公ヴァンピレラを『007/消されたライセンス』でボンド/ガールを演じ、『モータルコンバット』ではキタナを演じたタリサ・ソト嬢が演じている。それはいい。そこまではいい。
しかしこの衣装を見て欲しい。ちょっとくい込みが足り無いのではないか?乳はしょうがないがもっとレスリー・カールトンの様にぐいっぐいっと上に引っ張り上げてだね、ぎゅっぎゅっと!こう、メ●スジを晒すくらいの意気込みでっ!何のために股間に蝙蝠がついていると思っているんだ!と、文句のひとつも言いたくなるだろう。この衣装はヴァンピレラのライト・スタッフを継承しているとはとても云えない。
しかし我々は甘かった。これは特写であり、実際の画面ではこの様な衣装なのだ。ひっひどい。ひどすぎるっ。なんだこのおばさんパンツはっ。色気のかけらもないではないかっ!キー(`皿´)
まぁ衣装のことはもうしょうがないのでいい!500歩ゆずってあきらめた!次いこ次っ!
この映画の特撮はかなりショボイ。ヴァンピが蝙蝠に変身バサバサ飛んでいく所など吹き出すくらいショボイし、地球のヴァンパイア対策チームの基地ではCGか合成で加工し忘れている(か予算が足りなくてできなかった)箇所もある。多分オープニングの宇宙船モックで予算が切れたんじゃないのだろうか。
しかし、いいところもないわけではない。ヴァンピの衣装がしょぼい替わりにストーリーは多少は練られている。(本当はもっとシンプルでもいいと思っているが。)また、ザ・フーのロジャー・ダルトリーの出演はこの映画最大の売りだろう。ヴァンピレラの最大の敵としての主役級で、露出も多い。嬉々として悪の吸血鬼役を演じ、ライブで1コーラス披露しているくらいだ。これだけでもロックファンは見逃せない映画だろう。我慢してみていただきたい。(ちなみに、allcinemaのコメントでロジャーさんは珍顔よばわりされていました。否定はしないが…。)
以上の様にダメコミ映画を認定するに足る作品であり、評価は★★☆☆☆。
IMAGE ENTERTAINMENT
No.0516 Alice In Wonderland: CAV Edition [Larserdisc]
Disney's Exclusive Archive Collectionという、超豪華デラックスLDBoxシリーズで発売された『ふしぎの国のアリス』。このエントリで本LDの事を少し書いたが、3枚組の超豪華仕様。
全6面の内、1~4面がCAV、5~6面がCLVとなっており、本編は1~3面に収録。音声はデジタルトラックにはレストア版音声(ステレオ)、アナログの左チャネルには修復前の音声(モノラル)、右チャネルにはMEサウンドトラック(BGMと効果音のみの音声)を収録している。やや。これだけでDVDよりも豪華ではないか!
4面は、CAVの特性を生かした静止画や短いデータなどを収録している。
・1923年のアリス・コメディパイロット版、『漫画の国のアリス』
・1939年『不思議の国のミッキィ』
・原作を彩ったサー・ジョン・テニイルのイラスト。
・1939年と1943年のストーリーボード。(ふしぎの国のアリスは51年に製作されるまでに何度も企画が起きていたのだ。)
・削除シーンのストーリーボード
・マーク・ブレアーによるコンセプト画(静止画)
・キャラクターデザイン画(静止画)
・ライブ・アクションによる参考用写真(静止画)
・声優(静止画)
・ポスター・ロビーカード(静止画)
・予告編
・1954年『ディズニーランド』放映時のウォルト・ディズニーによる作品紹介。
・1964年『Wondeful World of Color』放映時のウォルト・ディズニーによる作品紹介。
5面には、"One Hour in Wonderland"を、6面には"Operation Wonderland" とExcerpt from "The Fred Warring Show"(部分)を収録。
しかしそれぞれのアナログトラックに音声による特典を多数収録していて、5面の右チャネルには、BBCラジオで放送された番組『Alice in Wonderland』(出演はディズニーとキャサリン・ボーモント)を収録。
左チャネルには、音楽のデモリールや、声優のオーディション音声などを収録している。
6面のアナログ音声は、右チャネルに1951年のBBCラジオのクリスマス番組(やはりディズニーとキャサリン・ボーモントが出演)、左チャネルには数々の音楽のデモが収録されているのだ。
結局、DVDが優れているのは未発見だったチェシャ猫のテーマソングが収録されているということだけではないか。音声に関してはLDの方が豊富だった。
以上、DVD時代であっても★★★★★をつけるに値する内容だと言える。
Disney Home Video
No.0221 Ham on Wry [Larserdisc]
Looney Tunesのポーキー・ピッグアンソロジー。タイトルの“Ham on Wry”は「苦笑いする豚」という意味だが、貧しい食事という慣用句“Ham on Rye”のもじりである。
ルーニーテューンズ最初のスター(語弊があるけどそう書く)であるポーキーは、白黒時代から活躍しているが、白黒時代の作品は、『The Case of the Shuttering Pig』(1937年フランク・タシュリン)、『Porky in Wackyland』(1938年ロバート・クランペット)、『俳優たるべし You Ought to be in Pictures』(1940年ロバート・クランペット)の3本。クランペットの2作品は有名だが、『The Case of the Shuttering Pig』はミステリー物で、恋人ペチュニア・ピッグが出演している作品。
カラー以降はいろんなキャラクターとコンビを組んだポーキーだが、『Porky Pig's Feat』はダフィー・ダックとコンビを組んだ作品の中でも名作の一つである。(1937年フランク・タシュリン)
また、ポーキーと言えば押しかけペットのチャーリー・ドッグを忘れてはならないだろう。『どちらがペット!? Awful Orphan』『捨てられた犬 Often an Orphan』(共に1949年チャック・ジョーンズ)はチャーリーにきりきり舞いさせられるポーキーの不運を描いた名作である。また後の『Jumpin' Jupiter』に繋がる『シルベスター怪談 Claws for Alarm』(1954年チャック・ジョーンズ)や、カナダ人シロアリと闘う『白アリを駆除するじょー The Pest Who Came to Dinner』(1948年アート・デイビス)に加えダフィーの相方を務めた5作品:『Boobs in the Woods』(1950年ロバート・マッキンソン)、『命がけのクイズ・ショー The Ducksters』(1950年チャック・ジョーンズ)、『やっかいな賞品 The Prize Pest』(1951年ロバート・マッキンソン)、『カモブタ道中記 Thumb Fun』(1952年ロバート・マッキンソン)、『ドアロック・ホームズの冒険 Deduce, You Say』(1956年チャック・ジョーンズ)を収録しており、ポーキー・ピッグを知るには最適の作品集である。★★★★★
Warner Home Video