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No.1122 ルーニー・テューンズ: バック・イン・アクション 特別版 [DVD]

 No.1030のLooney Tunes: Back In Action (Widescreen Edition)の日本版。
 北米版との差違は、主に日本語版の吹替と字幕であるが、The Looney Tunes Golden CollectionのCFとメインメニューのアニメーション(ダフィーがメニューを入れ替えたりする遊び)がオミットされているくらい。
 さて、No.1030を書いた時期は公開前だったので、非常にぬるく適当大将なことを書いていたのだが、今では公開してかなり経った。(廉価版DVDもようやく発売されました)では、これを機に完璧なレビューを書こう!…と思っていたのだが、先日眠田直さんの同人誌Toon Guideにお誘いを受け、そのパート2にこの映画について書いておきたいことの7割を既に書いてしまったのだ。さすがに重複することは書けないよなぁ。書いてもいいけど。
 *Toon Guideは現在Part3が発売中!

 書かなかった残る3割は、書いてしまうとあまりにも長くなりすぎる(原稿が妙に長くてバランスが悪いと思った)ことと、あまりToonすなわちカートゥーンと関係ない話も書かなくてはいけないので削ったのだ。
 まぁ自分のところだったら別に気にすることもないのでそれを書いていくこととしよう。とりあえず体裁だけ先に整えると、評価は★★★★★★


ワーナー・ホーム・ビデオ

 まずは見て貰わないと話にならない。未見の方はリンクから購入を。

ルーニー・テューンズ:バック・イン・アクション 特別版

ルーニー・テューンズ:バック・イン・アクション 特別版

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2006/07/14
  • メディア: DVD

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 この映画はアメリカでは大コケしたし、そのとばっちりで日本での公開もヒドイ物だった。モーニングショー中心で、ポスターもパンフも売ってくれない。前売り券すら刷って貰えなかった。(買いに行ったら「ありません」と言われた。)しかしそれがなんだ!この映画は決して駄作などではない。むしろ傑作の部類に入る。ただ現代人には作品のテーマもギャグも元ネタもさっぱりわからないだけなのだ。ただそれだけの瑕(きず)の為、この映画が歴史の中に封印されるのはあまりにも忍びないではないか。

 そこで、以降はこの映画の意味とギャグと元ネタの解説に裂くこととする。小林信彦の唐獅子シリーズでの筒井や、S・カミンスキーのトビー・ピータースシリーズでの和田誠の巻末解説のような物だと思っていただければいい。この解説がこの作品への理解のよすがになれば幸いである。

Chapter 1 カモは要らん
●ワーナーの企業タイトルから、作品のタイトルにかけてかかる曲は『What's Up? Doc』バッグスバニーのテーマソングであり、50年代のLTでよく使われた。
●この琥珀色の企業タイトルでかかる通常の曲は『カサブランカ』の“アズ・タイム・ゴー・バイ”
●BIAのタイトルは、日本公開時(吹替)はカタカナに差し替えられた。DVDはアメリカ版に準拠した映像であるため英語版である。
●冒頭のアニメーション部分は、1951年の『標的は誰だ Rabbit Fire』のリメイクである。(バッグスが出てくるまで)このファースは、バッグスとダフィーの力関係を決定づけた作品で評判も良く、1952年に『ちゃっかりウサギ狩り Rabbit Seasoning』、1953年に『ハンティングは楽し Duck! Rabbit! Duck!』と続編が作られている。
 俗に「バッグスとダフィーの(または、カモとウサギの)三部作」と呼ばれているこのシリーズのプロットは、エルマー・ファッド(ハンターのアイコン)の前でダフィーがバッグスを陥れようとするが、必ずバッグスの奸計にはまりエルマーに撃たれる、というもの。
 この三部作から産まれたギャグかつ決まり事に撃たれた後のダフィーはクチバシがずれてしまう(もしくは顔からとれてしまう)というものがありこの映画の中でも新作を見ることができる。
 そして、ダフィーの決めぜりふ、『お前、サイテー You're despicable.』(さんざん痛めつけられた後にバッグスに対して使う)が産まれたのも『標的は誰だ』から。
●冒頭のエルマーが歩く部分の音楽は『標的は誰だ Rabbit Fire』で使用したカール・ストーリングのスコアをジェリー・ゴールドスミスがアニメーションのタイミングに合わせて指揮した物で、オリジナルのテイストを壊さずかつ完璧にタイミングが合っており、ファンは感涙する。それというのも、1970年代に製作された3本の短篇ではLTらしさを出すためにかつてのカール・ストーリングのスコアを使用したが、オリジナルのスコアをそのまま流した為、アニメーションとのタイミングが全く合っていなかったからである。
●黄金期のLooney Tunesでは、会話とアカペラだけのプリレコ->アニメーション作画->オーケストラトラックのアフレコという手法で作られていたそうだ。何て豪華なんだ!
●この映画の中ではダフィーのクチバシは前段階にある議論部分を省略して様々な形に変形しているが、過程を省略して純粋にギャグだけを見せどんどんギャグを加速していく手法はテックス・アヴェリーが得意とするもの。
●没オープニングはダフィーがダックマンとなり狂人エルマー・ファッドと闘うという企画をダフィーが売り込むというものだが、これはダフィーがジャック・ワーナーに自分が主演のエロール・フリン風映画を売り込むという1950年の短篇『スカーレット・パンパニケル The Scarlet Pumpernickel』が元である。もちろんこちらはバットマン風。エルマーはピエロのメイクをしている設定らしい。つまりジョーカー。このオープニングも現代的パロディで面白いが、バッグスとダフィーの人気の違いを明確にし、よりギャグの多い現在のオープニングにしたのは正しい。
●シナリオに文句を付けるダフィー、まぁ当然である。前述の三部作以降、さんざん痛めつけられたうえ、待遇に差があるため、ダフィーはバッグスをあまり快く思っていないという事も覚えて置いて欲しい。
●ワーナー兄弟(ブラザーズ)役は『グレムリン2新種誕生』にも出演したドンとダンのスタントン兄弟。なお実際のワーナー兄弟は双子ではない。
●会議の席上、壁やフロアに飾ってあるバッグス主演のLT映画のポスターは、全て既存の作品を元に作られたフェイク。 当時LTは出来合のポスター(もしくは本編のポスター)に小さく白黒のロビーカードタイプのポスターを貼ったものものを使用しており、作品単位の大判ポスターは無いのである。(ディズニーなど他社と違い、ワーナーはケチなので作品単位のポスターなど作らなかったのだ。)
●バッグスが声を掛けるスタッフ「ボビー」「チャック」「メル」はそれぞれボブ・クランペット監督、チャック・ジョーンズ監督、そしてLTで主な声を担当した声優メル・ブランクの事。
●ポスターの元になった作品は、壁の物が1946年の『Hair-Raising Hare』と、1950年の『セビリアのラビット理髪師 Rabbit of Seville』どちらもチャック・ジョーンズ監督作品。
 フロアの物が1946年の『バッグスの野球狂時代 Baseball Bugs』(フリッツ・フリーレング監督)ともう一枚あるが、バッグスと重なっていて内容は不明。
 反対側の壁には『カサブランカ』(1942年ワーナー映画)のポスターも貼ってある。
●バッグス登場でとたんに会議の席上は沸き、バッグスがゲップをしただけで笑いがこぼれる。1957年の『ショービズはキビシ Show Biz Bugs』等を観ればわかるが、LTではバッグスとダフィーの扱いの差自体が既に決まり事としてギャグとなっているのだ。
 最も顕著な例が、1988年の長編『Daffy Duck's Quackbusters』で、タイトルに出るバッグスの文字は主演であるダフィーの名前よりはるかに大きい。(本当はダフィーの名前が不当に小さいだけ)
●バッグスの「542人の甥や姪」というのはウサギが多産だと言うギャグ。
●ケイトと握手したダフィーの手が凍るのは、儀礼的な冷たい握手をされたと言うことを明示したギャグ。
●ケイトの製作した映画『リーサル・ウェポン・ベイビー』はもちろんメル・ギブソン主演の映画『リーサル・ウェポン』シリーズのパロディ(ワーナー映画ですよ?)だが、ケイトがマーケティングを元に馬鹿げた企画を建て、そこそこヒットさせる手腕の持ち主、つまり現在のハリウッドの主流プロデューサーのひとりで有ることを示している。
●『リーサル・ウェポン・ベイビー』ポスター横のトロフィーコーナーには、『マルタの鷹』(1941年ワーナー映画)に出てきたマルタの鷹の像がある。
 同じくトロフィーコーナーの彫像はチャック・ジョーンズだと言われているが、うちのモニタではよく見えない。(多分違う)
●会議の資料提示にいきなり携帯電話を持ち出す会社も珍しいが、この映画ではあらゆるところで携帯電話が出てくる。これは映画がアメリカの携帯電話大手Sprint社(現Sprint Nextel)のPCS Visionとタイアップしているからである。
●ダフィーがバッグスと自分のどちらをとるかをワーナー兄弟に迫るシーンの後、バッグスがグルーチョ眼鏡を掛けるが別にシモネタはやっていない。吹き替えでは「シモネタだらけの下品なスター」となっているが、原語では「低級なバーレスクの…」と言っているのみである。バッグスは単にダフィーの言葉通りの紛争をすることでギャグを返しているのである。
●クビになったダフィーの私物の中にある写真でダフィーと一緒に写っている二人は、本物のワーナー兄弟。
●会議の席にいる男性は皆小柄で黒縁の眼鏡を掛けスーツを着ている。(何か意味がある?)

Chapter 2 ダフィーを追え!
●スタントマン・オーディションの審査員二人。向かって右(アニメの巨漢)は『バッグス、リングで燃えろ Bunny Hugged』でバッグスと戦ったヘビー級レスラーの≪ザ・クラッシャー≫、左はアーチー・ハーン。『アメリカン・パロディ・シアター』のハービー・ピトニック(TVで批評され、心臓発作で死ぬ人)の他、『インナースペース』『グレムリン2新種誕生』『マチネー』等に出演したダンテ組。実は『ファントム・オブ・ザ・パラダイス』のジューシーフルーツのひとりでもある(!!)
●ガードマンとしてのDJの上司役は、ダンテのデビュー作『ハリウッド・ブルーバード』から作品のどこかに必ずに出続けているディック・ミラー。
●DJの父親ダミアン・ドレイクは、スパイ俳優で実はスパイという人を食った設定だが、これはもちろん演ずるティモシー・ダルトンが007俳優であった事からのセルフ・パロディ。
●ダミアン・ドレイクが受賞したというスパイ映画に贈られる賞、「アイ・スパイ賞」は60年代のTVドラマ『アイ・スパイ』から。加えてスポーツ専門チャンネルESPNのスポーツ関連の賞、ESPY賞をもじったものか。http://espn.go.com/espy2005/
●バッグスの「カモの悪あがき」というセリフは、原語では「Deadman Walking」と言っている。つまりクビになり追い出されるダフィーを執行前の死刑囚に見立てているわけだ。映画『デッドマン・ウォーキング』はワーナー映画…ではない。(MGM配給)
●ダフィーが自分の名前を使えなくなるのは、ワーナーが契約としてダフィーの名前を保持しているから。首にされれば本人であっても名前を使えなくなるのである。
●DJとケイトの出会い。二人の会話でDJはLTを理解している(つまりダンテ側)、ケイトはコメディ部の部長でありながらダフィーの重要性を理解していないと言うことがわかる。
●スタジオのツアーガイド役は、Dean Ricca。実は本物のスタジオ・ツアーガイドである。
●スタジオのバックロットを逃げ回るダフィーと追いかける警備員のDJは、短篇「Hollywood Daffy」(1946/監督I.Freleng)を思い出させる。これはスタジオに侵入したサイン狂のダフィーと警備員との追いかけっこを描く作品である。
●バックロットで『バットマン』を撮影している監督はロジャー・コーマン。ジョー・ダンテ監督の師匠である。
●バットマンのスーツとバットモービルは、映画『バットマン』一作目のモデル。
●盾の印が付いた給水塔は昔からのワーナースタジオのシンボル。
 TVアニメ『アニマニアクス』ではヤッコ・ワッコ・ドットのワーナーブラザーズ(あとシスターも)が住んでいたことになっていたが…。
●「みろ、ニモが釣れた」はこの映画で一番わかりやすいギャグのひとつ。

Chapter 3 招かれざる客
●ワーナーのカフェテリアシーン。先ず出てくるのがポーキー・ピッグとスピーディー・ゴンザレス。二人はお互いにポリティカル・コレクトで仕事を干されている。
 ポーキーはトレードマークのどもりが、スピーディー・ゴンザレスはメキシコ人のネズミだがメキシコ人のステロタイプとして。
●しかしアメリカのメキシコ系住民はスピーディーを民族の英雄として復権し近頃は昼間やプライムタイムにもスピーディーのカートゥーンが流れるようになった。
●ポーキーを吃音症のイコンとして復権するような人は現れないだろうか。(無理
●次に現れるのが、マシュー・リラードをつるし上げる本物のシャギーとスクービー・ドウ。
 これはカートゥーンの実写リメイクブームに対する皮肉だが、この演技指導が後の『スクービードウ2』で花開き映画自体は不発だが、マシューのシャギー演技は完璧となった。
●シャギーとスクービーは出演するカートゥーンキャラクターの内、LTでない例外キャラ。ジョー・ダンテは基本的にLT以外のキャラクターは排除したが、現在は旧MGMのトムとジェリーやドルーピー、ハンナ・バーベラもワーナーの傘下にあり、不自然だという指摘を受けたため。
●ケイトとバッグスの会話の意味については、Toon Guide2に書いたのでそちらを参考のこと。
●二人の後ろを歩き席に着くのは、ラルフ・ウルフとサム・シープドッグ。ラルフはワイリー・コヨーテに大変似ているが狼であり、サムの見張っているひつじを狙っている。
●ワイリーとラルフを見分ける方法は、鼻の色をみればいい。ラルフ・ウルフの鼻の色は赤。
●バッグスの後ろの席に着くのはミシガン・J・フロッグ。
●バッグスの女装はマリリン・モンロー風。
●このシーンのその他の意味はやはりToon Guide2に書いたので繰り返しません。(^д^)
●バッグスの後ろの壁にはポーキーらの線画と、チャック・ジョーンズのポートレイトが!(泣
●ドレイク家の隣に住んでいるはグラニーは、DJの事を(原語では)「リトル・ダミアン」と呼んでいる。
 つまりDJはダミアン・ジュニアの略か。
●グラニーは、大抵トゥイーティー(とシルベスター)と共に出演するが、バックス・バニー&ヨセミテ・サムと共演したこともある。(大金持ちの未亡人としてヨセミテサムに結婚を申し込まれる)
●トウィーティーは、1942年『A Tale of Two Kittes』で鳩のヒヨコとしてデビューした。モデルはボブ・クランペット監督の息子、つまり赤ん坊を元にした体型なのである。
 誕生当時の相手役はアボット&コステロやジミー・デュランテ(当時のコメディアン…と書くのは内心忸怩たるものがあるな)をモデルにした猫でシルベスターではない。
 羽毛が生えそろわず肌色をしていたので「裸ではないか」と検閲の指摘を受け4年ほど不遇の時代がある。
●シルベスターのデビューは1945年の『Life with Feathers』 その当時から駕篭の鳥を狙う悪猫だった。
●二人が初めてコンビを組んだのが、1947年の『ピーチク小鳥 Tweety Pie』トゥイーティーはデザインが替わり肌色から黄色になり、目は青くなった。(みんなスターの整形疑惑とか髪染めてるとかそういうゴシップ好きだけど、トゥイーティーもそうだから)
 このコンビは人気となり、ルーニーテューンズに初のアカデミー賞をもたらした。(第20回)
●トゥイーティーがカナリヤかどうかは実ははっきりしない。「トゥイーティー・バード」と呼ばれることがあるからだ。

みんなついてきてますか?

Chapter 4 救出作戦
●「鳴ってるんでね、…リモコンが?」
 Chapter 2でケイトを水浸しにした時のDJのセリフ「ウップス」もそうだが、BIAに於ける吹き替え訳はあまりこなれていない。(こういう部分は思い切り意訳した方がしっくりくるのだが。)
 直訳風味になるのは、翻訳に本国のチェックが入っているからではないかと思われる。(短篇の吹き替えでもその節がみられる。)
ちなみにバックス役の山口勝平氏は、本国の担当者に「世界で一番下手くそなバッグス」と言われたそうである。メル・ブランクの真似でもさせられたのだろうか。気の毒に…。
●ダイヤモンドと聞いて頭がダイヤになる守銭奴ダフィー。ここで“We're in the Money”のコーラスフレーズが流れるが、この曲は『ゴールド・ディガース Gold Diggers of 1933』(1933年ワーナー映画)のテーマソング。LTでお金の話になると必ず流れるお金のテーマである。
●DJが“昔ピザ配達に使っていた車”に乗り込むシーンで、『グレムリン・ラグ(グレムリンのテーマ)』が流れるが、これはこの車がグレムリンという車種だからという楽屋落ち。グレムリンはれっきとしたアメリカ車であり、1974年にAMC社の倒産により生産中止になっている(つまり30年前のポンコツ車)。しかし、ファンが多く現在もネット等で売買されているようだ。
●本当のスパイ・カーは、スパイ・カーらしくイギリスはTVRのタスカンS。ご丁寧にナンバープレートもイギリスの物が使われている。
●タスカンSはアメリカでの販売を予定していなかったが、この映画がきっかけとなって販売されることとなった。
 余談だが、『西部警察』で新人俳優がギャラリーを轢いて問題になったのもTVR社の車である。

(これ以降は、まだ完全ではありませんよ。)

Chapter 5 アクメ社の陰謀
●グレムリンのエンジン音はいかにもボロ車という感じだが、このエンジン音はLTの声優メル・ブランクの声真似で、元々は飛行機のエンジン音である。(大元はジャック・ベニーのラジオで使ったエンジン音だという話もあるらしいが)
●ダフィーの着メロは、『メリー・メロディーズ』のエンディング。Sprint社の携帯電話PCS VisionであればHPから着メロをダウンロードできる。(ほしいなぁ)
●アクメ会長の手下で、坊主頭の巨漢スミス役はビル・ゴールドバーグ。WCWのチャンピオンである。
●アクメ社の自動ドアの音は『宇宙大作戦』のドアの音と同じ。
●7人のアクメ社副社長は全員ジョー・ダンテ監督と何らかの関わりのあった俳優がカメオ出演している。
●悪知恵担当(Acme VP, Bad Ideas)役のメアリー・ウォロノフは、コーマン組のB級女優で『デスレース2000年』のカラミティー・ジェーンや『フライパン殺人』の殺人女房役で有名。ダンテのデビュー作『ハリウッド・ブルーバード』ではビッチな悪女を演じた。『俺がハマーだ!』最終回で、女テロリストジル・テイラーを演じたのもこの人。
●会長からパパと呼ばれたバクロ担当(Acme VP, Stating the Obvious)役のマーク・ローレンスは、1930年代からリパブリックやワーナーのギャング映画に多数出演したベテランであると共に、あの『殺人豚』の監督兼プロデューサーでもある。
●こだわり担当(Acme VP, Nitpicking)のビル・マッキニーは、70年代のイーストウッド映画の脇に出まくった名脇役で、ダンテとは『キャノンボール』で共演した仲。
●ずるい宣伝担当(Acme VP, Unfairly Promoted)のジョージ・マードックは、『宇宙空母ギャラクチカ』のサリスで有名。ダンテとの接点はコーマンの『ランナウェイ』辺りか。
●クエスチョンズ(Acme VP, Rhetorical=修辞的質問)担当のロバート・ピカードは、ダンテ作品の常連で、『ハウリング』『エクスプローラーズ』『アメリカン・パロディ・シアター』等々。『グレムリン2』ではオカマグレムリンにキスされた。(はげたなぁ)
●ネバー・ラーニング(Acme VP, Never Learning=勉強しない)担当のロン・パールマンは言わずと知れたへル・ボーイである。ダンテとの接点はTVミニシリーズ『セカンドインパクト』か。
●児童労働(Acme VP, Child Labor)担当ヴァーノン・G・ウェルズは、ダンテの『インナースペース』に出演した。
●成り上がり担当のレオ・ロッシは、マッドマックス2のウェズ(モヒカン男)で有名。ダンテとは、『バニシングインTURBO』の現場で出会ったと思われる。
●クエスチョンズの「カモはどうします?」という質問に対する会長の答え「カリカリにして頂戴!」は、アニメ映画『ヘビーメタル』のエピソード“ダーナ”での「鳥はどうします?」「殺せ」のパロディだと思っているのだが、甚だ自信がない。
●もちろん、「カリカリにして頂戴!」(英語でextra crispy)というは北京ダックの焼き方を言ってるのである。

Chapter 6 ラスベガスへ
●シャワーカーテンのを開けるといきなりバッグスが悲鳴を上げるのは言うまでもなく『サイコ』のスラッシャーシーンのパロディ。音楽、悲鳴、カット割はもちろんご丁寧に血の替わりにチョコレートソースを流している。
 ちなみにバッグスはハーシーのチョコレートシロップを使っているが、本家『サイコ』で流れる血を表現するために使ったのはボスコのチョコレートシロップ。
●バッグスがスパイカーで唄うのは、『ラスベガス万才』(MGM)の同題の主題歌。(ワーナーではないけどラスベガスに行くならこの曲しか考えられないし、この映画の権利を持つターナーは同じグループなのでセーフ?)
●ケイトがウクレレを外に投げ捨て、バッグスが「音楽嫌いか?」というのは『ウサ公バニーの音楽会 Long-Haired Hare』(1949 チャック・ジョーンズ監督)からの引用。

Chapter 7 ダスティー・ショー
●ヨセミテ=サムのいかさまカジノ(Wodden Nickel)はラスベガスの外形は実在のホテルにサムのネオンを書き足した物。ちなみに同じホテルがラルフ・バクシの『クールワールド』にも出てくる。
●サムの二人の部下(カウボーイ)はナスティ・カナスタ(ヒゲ)とコットンテイル・スミス(ハゲ)。ナスティは、『保安官ドリッパロング・ダフィ Drip-Along Daffy』や、『荒野の一匹ウサギ Barbary-Coast Bunny』に出演した西部の荒くれ者。コットンテイル・スミスは『Super Rabbit』で登場。スーパーパワーを持ったバッグスに痛めつけられた。これらは全てチャック・ジョーンズ監督作品である。
●ダスティー・テイルズがショーで唄う“If You Want It to Be Good Girl (Get Yourself a Bad Boy)” はバックストリートボーイズの曲。
●ダスティー・テイルズのショーに出てくる踊る(小さな)ヨテミテ=サム達はベテランから新人まで由緒正しい小さい人が演じている。その中でベテランを二人紹介。
 ケビン・トンプソンは『ブレードランナー』の熊や、『ジェダイの復讐』『イウォーク・アドベンチャー』でのイウォーク等の可愛い系。
 アースロ・ギルは『ビルとテッドの地獄旅行』のステーションを始め、『ミュータントフリークス』『グーリーズ4』等に出演、『モンキーボーン』でブレンダン・フレイザーとは共演済みである。
●DJがダスティーにダミアンの息子と証明する為の歯キラリは『グレート・レース』(1968年ワーナー映画)のヒーロー、グレート・レズリーの笑みから。
●ダスティー・テイルズの黒のキャットスーツは、『アヴェンジャーズ』(ワーナー映画)より。

Chapter 8 大暴れ
●ヨセミテ=サムのお面を外したDJの姿は、『リオ・ブラボー』(1957年ワーナー)のジョン・ウェインそっくり。
●ダフィーが「耳を噛め!」というのはタイソンvsホリフィールド戦でのマイク・タイソンの反則(ホリフィールドの耳を噛んだ)のことを言っている。

Chapter 9 本領発揮
●DJが落下するポーカーのテーブルでは、押しかけペットのチャーリー・ドッグをはじめ、LTの名だたる犬達が勢揃いしている。
●ハムとエクス(Ham and Ex)は、『I Haven't Got A Hat』でポーキーと共にデビューした双子の子犬。
●スローか静止で見るとわかるが、ハムとエクスはテーブルの下でカードを交換している。(つまりイカサマ!)
●カジノの表でヨセミテサム一味に車を奪われるのはナスカーのドライバー、ジェフ・ゴードン。ラスベガスにはナスカーのコースがありラスベガスにふさわしいカメオである。
●スパイカーがまさに壁にぶつからんとするとき、ダフィーが小声で「ママ」と叫ぶのは、ダフィーが死を、いや死ぬほど痛い目に遭うのを覚悟したときによく呟く言葉。
 原語では「mother...」と言っており、この言葉が4人をエリア52に運ぶ鍵となる。
●マザーを示すスパイ・カーのモニタに表示されるのは、映画『ミスター・ビーン』でも鍵となったアメリカを代表する油彩画家ホイッスラーの≪母の肖像≫。アメリカを代表する絵画であり、LTでもギャグとしてよく使用される。

Chapter10 ガス欠
●スパイカーの飛行中にかかる曲は飛行機旅行をイメージした名曲『カム・フライ・ウィズ・ミー』。オリジナルはフランク・シナトラだが、使用されているのはマイケル・ブーブレの唄うワーナー版カバー。
●墜落中のスパイカーが燃料切れで空中で止まるのは、1942年の短編『Falling Hare』で使用されたギャグ。なお≪グレムリン≫が登場するこの作品は、ダンテの『グレムリン2』でも引用された。
●空中で止まったスパイ・カーがケイトの一言で地上に落下するのは、ケイトがそもそもギャグを理解していないと言う意味。ギャグを受容できずに現実に引き戻したのだ。

なんかそろそろしんどくなったのでポツポツ出していきますよ。

Chapter11 砂漠の嵐作戦
●ウォールマート
アメリカのスーパーチェーン。世界一の売り上げを誇る小売業。近頃西友を買収したことでも有名だが、さすがに砂漠の真ん中には出店していないと思う。
●「これも君の仕業?」
DJからケイトへのこの問いかけは、「これも君が交渉したタイアップなのか?」と言う意味。もちろんBIAのプロデューサーの仕業である。
●「ウォールマート♪」
蜃気楼の中からウォールマートが現れる際のコーラスは、サントラの隠しトラックに収録されている。君も聞こう!
●コヨーテのミサイルに“Hi There!”と書かれているのは『博士の異常な愛情』から。

Chapter12 エリア52
●エリア52の冒頭、エイリアンをクレーンが捕まるシーンで使われている曲は、“Power House”と言って、LTでベルトコンベアや自動装置などの機械が出てきたときに必ず流れるメカのテーマである。(出典は不明。誰か知っていたら教えて下さい。)
●マザーの名前は、映画『アヴェンジャーズ』から。(またか)
●マザーのセリフの大部分は、映画『夢のチョコレート工場』(ワーナー映画)でウィリー・ワンカが喋ったセリフ。吹き替えでは時たまあまり繋がらないことを言っている様に思えるのはそのせい。
●エリア52の名前を聞いたバッグスが見せる「ボールと木ネジ」の看板は絵文字で、二つ合わせて“Screwball”、つまりマザーが変人だと言っているのである。
●この手の絵文字はLTでよく使われており、他には割れた鍋で“Crackpot”(これも変人)、クルミを書いて“Nuts”(これも変人だな)、トウモロコシを書いて“Corny”(ださい、古くさい)等がある。
●ロビー・ザ・ロボットの中に入っているのはRobert Parigi、テイルズ・フロム・クリプトのプロデューサーである。(なにやってんの。)

Chapter14 不法エイリアン

ここらへんはわかりやすいから解説しなくてもいいよね!

●トリフィドは『トリフィドの日』に出てきた食肉植物モンスター。本作品では何故かポスター版のデザインで登場する。
●バッグスが『惑星Xからきた男』のX星人の宇宙服に入れるのはACT IIの電子レンジ用バターフレーバーポップコーンのパッケージ。(に見える)

Chapter15 絵画で追いかけっこ
●突然フランスのありものフィルム(しかも古い)が挿入され、舞台はフランスへと移動するが、これはダンテの処女作『ハリウッド・ブルーバード』と同じ手法。同作はカーチェイスの撮影をするシーンで『デスレース2000年』のフィルムを使用するなどみえみえの超低予算をギャグにした映画である。
●絵画の中をバッグス、ダフィー、エルマーが追いかけっこして絵の中に入るたびにキャラのタッチが変わるというギャグは、チャック・ジョーンズ夫妻原作の長編アニメーション『Gay Purrie』で使われた、ヒロインの猫(声はジュディ・ガーランド)の絵が様々なタッチで描かれると言うものの発展形。
●追いかけっこの際のBGMは“展覧会の絵”。
●エッフェル塔のシーンは、『マドレーヌ』『地下鉄のザジ』等、アメリカ人の考えたステロタイプなフランスのイメージで描かれている。『赤い風船』が飛んでいたり。
●ジェリー・ルイスのポスターが貼ってあるのは、フランス人はジェリー・ルイス好きというステロタイプ。
 ポスターの映画は、"Which Way to the Front?" (1970)と、"Smorgasbord" (Cracking Up (1983))

Chapter18 猿の聖域
●グラニー達の乗っている象は、かつて『ジャングル・ジョージ』でブレンダン・フレイザーと共演したことがあり、今回が2度目の共演である。ちなみに『ジャングル・ジョージ2』にはどちらも出演しなかった。『ジャングル・ジョージ2』の象はCGIで、ジョージも別キャストだった。
●ちなみに舞台はアフリカだが、象は凶暴なアフリカ象ではなく、おとなしいインド象である。ハリウッド映画は大抵そうだが。

Chapter19 ひと皮向けば
●グラニーが変装用スーツを脱いでアクメ会長に、シルベスターがミスタースミスに、トウィーティーがタズマニアン・デビルに変わる。その後会長は、ダミアン・ドレイク→マイケル・ジョーダン→また会長に変装するが、このギャグは『Don't Give Up the Sheep』(1953 チャック・ジョーンズ監督)でのラルフ・ウルフとサム・シープドッグの変装合戦が元。
●会長がマイケル・ジョーダンに変わるのは前作『スペースジャム』を使った唯一のギャグ。
●ミスタースミスの放つ分解光線は、『ダフィーウォーズ Duck Dodgers in the 24 1/2th Century』(1953 チャック・ジョーンズ監督)で、マーヴィン・マーシャンがダック・ドジャースに使った分解光線から来ている。
●光線を打ち終わったミスタースミスは変装を解いてメスのタズマニアン・デビルとなるが、メスのタズマニアン・デビルの事は、タズマニアン・シーデビルという。She-devil(悪魔のような女)という単語が有るのを受けての命名であることは言うまでもない。
●タズマニアン・デビルとタズマニアン・シーデビルの声はブレンダン・フレイザーが担当している。
●転送されてきた5人の体は部品が一部入れ替わっている。会長の頭にはバッグスの耳と足はケイトの物に。ダフィーの頭はバッグスの体に。DJにはバッグスの歯が。ケイトの足はダフィーの物に。そして残りがバッグス。

Chapter20 犬が欲しかった
●ブルーモンキーを持って宇宙に行こうとするマーヴィン・マーシャンに向かって、ダフィーは「おい、まて8ボール」というが、これはビリヤードの8ボールが黒いため。マーヴィンの顔の形と色にかけているのだ。ちなみに8ボールというのは黒人を示すのスラングでもある。きわきわのギャグ。
●宇宙船が発進した後に現れる緑色の生物は、インスタント木星人。インスタント木星人はマーヴィン・マーシャンの手下で、普段は豆粒大だが水を掛けることにより巨大になる。一度木星人入りの瓶がマンホールに落ちて地球に木星人が大量発生したことがある。(『Hare-way to the Stars』(1953 チャック・ジョーンズ監督)の中での話)


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