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No.1864 Ryan [DVD]

Ryan.jpg 2004年アカデミー賞短編アニメーション部門受賞した「Ryan」を観た。
 60年代NFBのホープであり、一時は作品がアカデミー賞にノミネートされたのだが、その後重度のアルコールとコカインへの依存でホームレスの物乞いとして生きていたアニメーター、ライアン・ラーキンのドキュメンタリーだ。日本でもクロックワークスが去年の夏あたり上映したのだそうな。しらんかった。

 主人公である監督がライアン・ラーキンへのインタビューした音声に、3Dアニメーションで絵をつけた、アードマンのカンバセーションなんたら(忘れた)の様な作品なのだが、主人公を含め登場する人々は歪んでいたり、モデルが欠損していたりしている。特にライアンは腕に肉が付いていなかったり、顔はほぼ失われていたりする。まぁそういう演出なのだな。

 天才アニメーターの悲惨な現在という題材はショッキングであり、短編として出来は悪くない。アカデミー賞を取るのもわかる。しかし、特典に収録されているライアン・ラーキン本人の作品のすごさの前にはその魅力はかすんでしまう。特典には三本収録されている、アカデミー賞にノミネートされた「Walkng」もすごいが、その3年後につくられた「Street Musique」はもっとすごい。
 音楽に乗ってモーフィングするシンプルな線、カラーインクの染みで描かれた風景アニメーション、そしてときおり現れるリアルな手のイメージ。美しく醜く楽しく怖い。アニメ界のザッパかリンゴ・スターかと称されたのもうなずける作品であった。

 ライアン・ラーキンは「Ryan」をきっかけに30年ぶりに作品を制作する機会を与えられたが完成させることなく肺癌でこの世を去ったという。作られなかった作品がもし完成していたら、それは駄作になっただろうか。それとも「Street Musique」を越える傑作になったんだろうか。少なくとも凡庸な作品にだけはならなかったことだけはわかるのだが。

 本編は★★★★☆くらいの作品だが、特典を含めると、★★★★★をつけざるを得ないか。




Copper Heart


 余談だが、「Ryan」の監督、クリス・ランダースが知り合の猛獣使いにクリソツなので笑った。

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ふこをさん

と、昔書いた日記をちょちょっと直してエントリを作るのです。
by ふこをさん (2008-05-14 15:44) 

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